2023/11/12 22:07
展示概要
阿部明子は宮城県出身、三浦を拠点に活動する写真家です。
本展覧会では阿部の写真活動初期に制作した写真群を紹介します。これらの作品は写真植字(写植)機と呼ばれる機械を用いて制作されました。写植機はまだパソコンが普及する以前に活版印刷に代わる新たな印刷技術として使用されていました。
「光学写真の原理で文字を現して組む」この方法を応用したのが本作品です。写植機の台に本来置いていた文字盤の代わりに被写体を置き、露光の角度や時間を調節して直接印画紙(またはフィルム)に感光させることにより非常に高密度で解像度の高いイメージが生成されています。被写体として選ばれているのは私たちが普段から見慣れているものばかりですが、高い解像度でみるこれらの被写体は何か得体の知れないものとして浮かび上がってきます。対象をよく観察するほど、物を認識すること、名指すという行為が非常に曖昧で揺らぎがあるものだということに気づかせてくれます。
阿部明子 Akiko Abe
宮城県生まれ。三浦市在住。写真家。近年の主な展覧会「せんだいメディアテーク開館20周年展 ナラティブの修復」(せんだいメディアテーク、2022年)。主な出版物 ナラティブの修復(左右社)2017年宮城県芸術選奨新人賞受賞。
期間 11月15日(水)~11月22日(水)
時間 11:00~17:00
場所 三浦市南下浦町菊名493
※オープン日以外は予約制(予約はこちら)
なお汀線では、展覧会とは別に店内にてささやかな小特集を組んでおります。今回は神奈川県立近代美術館で開催中の「葉山館20周年記念 100年前の未来:移動するモダニズム 1920-1930」展の関連本が面出しされております。すべてご購入いただけますので、ぜひご覧下さい。